化粧品リコールの数字は集計対象に注意
FDAのEnforcement Reportなどには化粧品の回収情報が掲載されています。ただし件数、対象製品数、回収期間の平均などは、集計年・製品カテゴリー・FDAの分類・回収イベントの数え方で変わります。出典と再現可能な集計方法のない具体的割合や平均値を「業界全体の統計」として示すのは避けるべきです。
確認できる事例:Henkel社のシャンプー自主回収
FDAに掲載された2025年3月25日付の企業発表によれば、Henkel Capital S.A. de C.V.はTec Italy Shampoo Totaleの1,068本を自主回収しました。理由はKlebsiella oxytocaという細菌に汚染されている可能性があることです。
FDAの掲載情報ではProduct TypeがCosmetics(Hair Products)で、米国内ではニューヨーク州・カリフォルニア州の流通業者等を通じて販売されていました。公表時点で当該製品による健康被害報告はありませんでした。公表時点の対象製品、汚染の可能性と健康被害報告の有無は、回収の影響を評価するうえで重要な情報です。
自主回収とFDAの強制回収は同じではない
多くの化粧品回収は企業による自主回収です。FDAは自主回収の進捗確認や危害評価、リコール分類等を行いますが、FDAサイトで企業の自主回収が告知されることだけをもって「FDAが回収を命令した」とは言えません。
MoCRAによりFDAには一定条件の下で化粧品の強制回収を命じる権限が加わりました。FDAが重大な健康被害や死亡を引き起こす合理的な可能性を認め、責任者が自主的な回収に応じないなどの法定要件が論点となります。2025年12月には制度の運用に関する草案ガイダンスも発表されています。草案は最終規則や命令と区別します。
問題が発覚した際の初動
製品・ロット・販売地域・出荷先と在庫の追跡情報を保存します。影響範囲と危害の可能性を評価し、責任主体を特定したうえで、FDAへの通知・顧客への連絡・回収計画・品質原因の調査を検討します。
回収の種類、責任者、期限、報告事項などは事案ごとに異なります。21 CFR Part 7のガイダンスおよびMoCRA関連資料を踏まえ、個別の事例で法的義務と推奨事項を区別してください。