
サプリメントの施設登録は、すべての事業者に一律に必要ではない
ダイエタリーサプリメント(dietary supplement)は米国法上、原則として食品の枠組みで扱われます。米国内向けの食品を製造・加工・包装・保管する米国内外の施設は、FDA食品施設登録(Food Facility Registration)の対象となることがあります。ただし、21 CFR 1.226には農場、一定の小売食品施設、レストラン、個人住宅など登録義務の例外があります。
日本企業がサプリメント原料や完成品を扱う場合も、実際に行う作業、施設所在地、食品の流通先、登録対象の免除条件を施設単位で確認します。単にサプリメントを販売・輸入するというだけで、すべての会社に食品施設登録が必要になるわけではありません。
2026年の施設登録・更新に使うFDAのシステム
FDAはFDA Industry Systems(FIS)内のFURLS Food Facility Registration Module(FFRM)で食品施設登録を受け付けています。登録時は施設名・所在地・所有者または管理者・取扱食品カテゴリー・必要な場合の米国代理人・施設固有識別子(UFI)などを記入します。
FDAはUFIとしてData Universal Numbering System(DUNS:ダンズ番号)を受け入れています。施設の住所が一致しないと確認手続きに問題が生じる場合があるため、登録前に実際の施設所在地とUFIの情報を照合します。
登録義務がある食品施設は、偶数年の10月1日から12月31日までに隔年更新が必要です。2026年の更新期間は2026年10月1日から12月31日であり、FDAは通常の情報変更(update)と登録更新(renewal)が異なる手続きだと説明しています。変更がない場合も定められた期間内に更新を行います。
外国施設のU.S. Agentと輸入者の役割
登録義務がある外国食品施設は、登録情報に米国代理人(U.S. Agent)の連絡先を記載します。FDAとの連絡窓口としてのU.S. Agentと、米国食品輸入者が負うFSVP(Foreign Supplier Verification Programs:外国供給者検証プログラム)上の役割、Importer of Record(通関上の輸入者)の役割は別の制度です。
米国代理人の登録上の役割、緊急時の連絡方法、施設情報の変更時の通知方法などを事前に取り決めてください。代理人を登録したことだけでFDAや米国の取引先に対するすべての義務が代理人へ移るわけではありません。
登録は無料で、FDAの認証書ではない
FDAの食品施設登録そのものにFDAへ支払う登録料はありません。民間の登録代行業者やU.S. Agentはサービス費用を請求する場合がありますが、FDAは民間業者と提携した公式の登録代行制度だと誤認させないよう注意喚起しています。
FDAの施設登録は製品の安全性を承認する制度ではなく、FDAが公式の『登録証明書』や『品質認証書』を発行するものでもありません。登録番号を取引先へ示す場合も、FDA承認済みやFDA認定工場と表示してはいけません。
2026年7月20日、FDAは食品施設登録番号、PIN、FIS・FURLSのユーザー名やパスワードなどを民間事業者へ安易に提供しないよう注意喚起しました。小売プラットフォームに提出を求められた場合も、何の情報が必要なのか、法令上の義務か、代替の確認手段があるかを確認します。
食品のPrior Noticeは施設登録とは別の手続き
米国へ輸入する食品には、適用される条件の下でPrior Notice(食品輸入事前通知)が必要です。食品施設登録番号は事前通知で求められる情報の一つですが、FDAの21 CFR 1.281等には、登録番号を提供できない場合に製造者の住所と所定の理由を申告する選択肢があります。
したがって、あらゆる輸入事案で『製造者の施設登録番号を入力できなければ事前通知を絶対に提出できない』と一般化するのは正確ではありません。例外に当たるかは製品・製造施設・提出情報ごとに確認し、不正確な理由を入力して登録義務を回避してはいけません。
サプリメントのcGMP・ラベル・NDIは別途確認する
食品施設登録を完了しても、それだけでサプリメントの表示・成分・安全性・製造管理が適法になるわけではありません。サプリメントを製造・包装・表示・保管する事業者には、適用される21 CFR Part 111のcGMPが関係します。原材料の同一性、ロット・工程の記録、製品品質、表示内容などを確認してください。
ラベルではSupplement Facts、原材料表示、適切な免責表示などを検討します。また、New Dietary Ingredient(NDI)に該当し法定例外のない原料を扱う場合は、市販前通知が必要になることがあります。施設登録、表示規制、NDI通知、FSVP等の制度を個別に判定します。
日本企業の施設登録チェックリスト
①当該施設が実際に製造・加工・包装・保管する内容を確認する。②21 CFR 1.226の登録免除が適用されるか判断する。③登録が必要な場合、施設のUFI・所在地・担当者・U.S. Agent情報を準備する。④FDA Industry Systemsで必要な登録を行い、提出控えを保管する。⑤偶数年の登録更新期限と、変更時の修正手続きを分けて管理する。⑥Prior Notice、サプリメントcGMP、製品表示、輸入者のFSVP義務を別途確認する。
施設登録の実施は、FDAが個別製品の輸入・販売を保証したことを意味しません。手続きと品質・安全性の根拠をそれぞれ整備することが重要です。
