
MoCRAが小規模化粧品事業者に関係する理由
MoCRAはModernization of Cosmetics Regulation Act of 2022(2022年化粧品規制近代化法)の略です。米国で流通する化粧品について、安全性の裏付け、重大有害事象の報告、一定の施設登録・製品リスティングなどの要件を設けました。製品を日本で製造していても、米国向けに販売する場合は適用される規定の確認が必要です。
ただし、すべての化粧品企業が同じ登録・提出義務を負うわけではありません。FDAは小規模事業者向けの免除や、化粧品・医薬品の両方に該当する製品の別の要件を示しています。まず商品分類、販売者・製造者の役割、免除の有無を判断します。
施設登録・製品リスティングの小規模事業者免除
MoCRAは一定の小規模事業者について、化粧品施設登録・製品リスティング・GMP関連規定からの免除を設けています。小規模事業者の定義には、過去3年間の米国内の化粧品の平均総売上を基準とする、インフレ調整を伴う金額要件などがあります。売上要件はインフレ調整の対象となるため、固定額に頼らず、法定定義と該当年度の条件を照合してください。
免除は一部の製品に適用されません。FDAは、通常使用で眼の粘膜に接触する製品、注射製品、体内での使用を意図する製品、通常使用で24時間を超えて外観を変えることを意図し、消費者による除去が通常使用の一部でない製品などを例示しています。事業規模だけでは免除を確定できません。
免除される場合でも、化粧品の不当表示・安全性・重大有害事象報告といった別の義務が自動的に消えるわけではありません。登録義務を免除された施設が自発的に登録する場合の手続きと、法的に登録が必要な場合も区別します。
U.S. AgentとResponsible Personは別の役割
登録義務のある外国の化粧品製造・加工施設は、FDAへ提出する施設登録情報にU.S. Agent(米国代理人)の連絡先を含めます。ただし、登録免除施設も含めて米国外のすべての施設が必ず同じ代理人契約を結ばなければならない、という意味ではありません。
Responsible Person(責任主体)は、化粧品ラベルに氏名が表示される製造者、包装者、または販売者を指します。施設登録上の米国代理人と同一とは限らず、米国内に法人や事業所を設けることがResponsible Personになるための一律の条件というわけでもありません。
登録支援会社、米国輸入者、製造委託先、ブランド所有者の役割を事前に整理し、FDAへの連絡、製品リスティング、重大有害事象の受領・報告を誰が担当するか文書化することが重要です。
重大有害事象の報告とラベル連絡先
Responsible Personは、化粧品に関連する重大有害事象の報告を受領してから15営業日以内にFDAへ報告し、製品ラベルの写しを提出する必要があります。初回報告後1年以内に新たな医療情報等を受け取った場合も、受領後15営業日以内に追加報告します。期限は事象の発生日ではなく、責任主体が情報を受け取った日から計算します。
有害事象に関する記録は原則6年間、小規模事業者は3年間の保存が定められています。記録保存期間については、事業者の小規模事業者該当性や対象資料を確認してください。
化粧品ラベルには有害事象報告を受け取るため、米国内住所、米国内電話番号、または電子的連絡先を表示する仕組みがあります。FDAはウェブサイトやメールアドレスを電子連絡先の例として挙げています。すべての日本企業が米国内の代理人住所と電話番号の両方をラベルに印刷しなければならない、という説明は適切ではありません。
製造管理と未施行の規則案を区別する
MoCRAはFDAに対し化粧品Good Manufacturing Practice(GMP:適正製造基準)の規則整備を求めています。ただし、FDAが公表した草案ガイダンス、規則案、施行済みの最終規則は法的な位置づけが異なります。未成立の詳細要件を既に施行された義務として取り扱うことは避ける必要があります。
原材料管理、品質管理、苦情・回収対応などの記録を自主的に整備することは有用ですが、ISO 22716への第三者認証がすべての米国向け化粧品企業に現時点で法律上必須だと決めつけることはできません。
日本ブランドの実務確認
①米国での製品分類を確定する。②登録免除・例外を製品別に判断する。③登録対象の外国施設はFEIとU.S. Agentの情報を準備する。④Responsible Personと輸入・販売事業者の役割を整理する。⑤安全性の裏付け、表示・有害事象報告の連絡体制を整える。⑥制度改正とFDA公表資料を確認し、変更のあった要件のみを適切に反映する。
FDAの化粧品施設登録や製品リスティングは製品の承認・認証ではありません。登録済みとの表示だけで安全性やFDAの承認を保証するものでもありません。